皆さんは網戸ってどのように張り替えられているか知っていますか?
普段、張り替えを頼まれるときは多くがアルミの枠にポリプロピレン製の18メッシュや24メッシュのネットを張ります。
つまり、
普通の網戸の枠に普通のネット(ホームセンターで売っているようなもの)を張り付けているだけなんです。
じゃあ、
究極の網戸とは何だろう?本来の網戸とは何だろう?
と思い、行き着いたのが蚊帳です。
そこで、まずは蚊帳の歴史について調べてみました。
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蚊帳の歴史
蚊帳の歴史は相当古いはず、一説によると奈良時代にはあったとか。
蚊帳の歴史は古い 、前5世紀にナイル河口で漁民は魚網を利用した。弥生時代の水田拡張は蚊とマラリアを跳梁させ、15代応神天皇は呉から蚊帳の製法を学んだ。
江戸中期には越前近江で大麻の蚊帳が生産され一般人にも普及した。
しかし、蚊帳から網戸に移った歴史はたった70年くらいなんです。
初めは、「え!?うそだろ!」と思いました。
今ではどの家にも網戸があるし、江戸時代くらいからあるものだと勝手に思い込んでました。
実は、網戸の歴史ってほとんどないんです。
というのも日本には網戸の古い文献や記録などの類がほとんどありません。
それは日本の住宅様式の変遷に理由があるようです。
奈良平安時代の古い絵巻物などを見るとわかるように、建物には縁側を挟んで仕切るものがなく開放的でした。
すなわち部屋と部屋の仕切りも「帳(とばり)」程度のもので、網戸が存在するような建物様式ではなかったのです。
そのため、前述の蚊帳がこの時代から網戸が生まれるまで活躍したのです。
網戸で虫の侵入を防ぐという発想はなかったようですね。
網戸がなかったら蚊や小バエ、虫なんかが入ってくるじゃねーか!
と思いましたが、よくよく考えると、昔の人は何か網戸と同じようなものを使っていたはずです。
蚊帳は現代の網戸と同じ機能を持っていた
蚊帳の存在
網戸のない時代、虫除けには蚊帳というものが使われていました。
一番古い記録としては、応神天皇が播磨の国を巡幸の際に「賀野の里(かやのさと)」というところで御殿を作り蚊帳を張ったという記述が「播磨国風土記」にあります。
また、ほぼ同時期の「日本書記」によると、中国の呉から「蚊屋衣縫(かやのきぬぬい)」という蚊帳作りの女性技術者が渡来したとの記述が存在する事から、奈良時代より以前に中国より伝来してきたのが起源ではないかと考えられています。
昔、麻は絶縁物として碍子(がいし)に使われていました。碍子というのは何かと何かの繋ぐクッション材のようなものです。
本麻の蚊帳に入っていれば安心という風土があったのですね。
昭和40年代に入って蚊帳が急激に減ったのは下水道の整備など環境衛生が発達し、農薬で蚊そのものが減り、アルミサッシを使った密閉空間での冷房が普及したからです。
それでも蚊帳が消滅しなかったのは何故でしょう…
夏はやっぱり蚊帳に限るという理由がいくつかあるからです。
- 締め切った部屋で冷房をきかせて寝るのは健康によくない
- 扇風機もクーラーも嫌い。風通しの良い蚊帳の中で寝るのが一番
- 子供のために冷房も殺虫剤も使いたくない
- 夏場の野外生活を楽しむには蚊帳は必需品
などとの理由が上げられています。
このようなことから健康志向の人たちは今でも蚊帳を使うそうです。
蚊帳から網戸へ移り変わる
初期の頃の網戸
明治時代にはいり、ガラスの窓が普及しはじめました。それに伴い網戸が誕生したと言われています。
この頃の網戸は窓枠に金属製の網や蚊帳の素材を取り付けた、はめ込み式の網戸でした。木枠に釘で打ち付けてある網戸もこの頃に登場したようです。
急速な網戸の普及
昭和30年代に入り、「網戸」がようやく広く普及することになる出来事が二つありました。
1つ目「垣内商事(現:ダイオ化成の前進)」が、国内初となる合成繊維による防虫網を開発
この防虫網は、サランと呼ばれる塩化ビニール系の樹脂が素材として用いられ、この素材の名前から防虫網のことを「サラン」と呼ぶ人もいました。
現在では環境問題への観点から、ポリプロピレン樹脂系素材のものが一般的となりました。
二つ目は、網戸にとって最も大きな影響をもたらした「アルミサッシ」の登場
アルミサッシは昭和35年から40年にかけて登場し、瞬く間に普及していきました。
また、網戸のフレームも木製からアルミに変わり、開口にはアルミサッシと網戸のセットが当たり前になりました。
昭和時代にやっと網戸が一般的なものになったんですね!
それまではほとんど金属で、カーテン生地を貼り付けましたというものばっかりでした。
さらに枠も木材、もしくは直接取り付けて動かすことができないなど不便なものでした。
今は昔と比べて大分進化しましたね!
海外に見る網戸の歴史
海外では、日本より古くから「網戸」が存在していたようです。
窓に防虫用のネットを張ったり、薄いカーテンを引いたりして蚊の浸入を防いでいたようです。
確かなところでは1660年にドイツで金属製網が使われたのが最初であるとされ、網戸の原型になったと言われています。
ボクが網戸の資材の業者にいわれたことなのですが、
今現在、海外での網戸のネットは
- アルミ
- ステンレス
- グラスファイバー(ガラス繊維の丈夫なもの)
が主流なんだそうです。
ポリプロピレン製のネットを使うのは日本だけなんだとか。
歴史に見る究極の網戸、本物の網戸とは
以上より、日本では網戸の歴史はあまりなく、普及し始めたのも割と最近なんです。最近といっても昭和時代ですが。
意外にも網戸の歴史は海外のほうがありました。こんなに身近にあるものなのに。
とすると
究極の網戸、本物の網戸というと海外の網戸のように金属製のネットになるのかなと。
今では、アルミ、ステンレス製のネットもメッシュを選べますし、樹脂製のものよりも風通しがいいです。
網戸のバリエーションも増え、ロール式の網戸や、キャタピラ式の網戸もあります。これからは網戸の歴史が加速しそうですね。
蚊帳の歴史を知り、究極の網戸は今では金属製が最高峰
- 網戸の歴史はほとんどない
- 日本では昔から蚊帳を使っていた
- 海外のほうが網戸の歴史がある
- 本場の網戸は金属製のネットを張る
- これから網戸の歴史ができていく
こんな風になりました。
究極の網戸で見ると、ステンレスになります。
初期の網戸が金属製だったこともあり、猫にも破られない、登られない、頑丈であるという点で言うと、網戸のプロからしても未だにオススメします。
しかし、機能面で言えば網戸がないほうが最高なんですけどね。
この話はまた話がややこしくなるので、この辺りで。
では、よい網戸生活を。